明日の照り焼き

日々のこととか趣味のこととか

何もできない時はある

夕方に仕事を終え、家路についた。帰りの電車に揺られながら、昼休憩中に少しだけ読んだ小説の続きをもっと読みたくなる。僕は家で読書ができない(する気力がなくなったり別のことをすることが多い)ので最寄駅のカフェで席が空いていたらそこで読もうと思う。カフェの席が空いていたのでカバンで席を取り、注文の列に並ぶ。程なく僕の順番が来て注文をする。だがここで問題が起こる。注文の品の用意はできたがレシートが詰まってしまったらしい。スターバックスはコーヒーを頼んだレシートを見せると2杯目以降が大幅に値引きされるので、渡せないと店としてはクレームの元になるから学生と思われるスタッフも焦っている。僕としてはコーヒー2杯目を飲むような長い時間を店で過ごそうと思ってはいなかったのだが、いかんせんきがつくのが遅かったので、もうレシートをもらわないと逆に相手に申し訳がないくらいには対処が進んでいる。仕方がないのでレシートの用意ができるまで待ち、商品を受け取る。

席について本を読む。学生時代の後輩からスマホゲームの画像が送られてくるので多少雑談をしながら。コレットの『シェリの最後』を読んでいる。まだ三分の一ほどしか読んでいないし、これと言って大きな事件が起きているわけでもないのに非常に面白く読んでいる。シェリの一つ一つの行動はたいしたことをやってはいないのだが、心理描写が巧みだと思う。彼の心の動き、無気力になり、周囲に対する関心が薄くなりながらも、自分が除け者になることは気に食わない。疎外感を感じながらも社会に適応するための行動をすることには違和感を感じる。彼の孤独には共感を禁じ得ない(もちろん戦争帰りのシェリと僕では比べ物にならないが)。

 

家に帰りコンビニで買った夕飯を食べる。普段買わないものを買ってみようと思い明太子クリームパスタを買ってみた。普段買わないものは期待を超えることもあるがそれは珍しいことだよね、と想像通りの味のパスタを食べながら思う。そのあとは何もできなかった。風呂に入らないと、歯を磨かないと、ゲームでもしたい、文章を書く練習もしたい…そんなことを考えながらただスマートフォンでどうでもいい情報の中を泳いでいた。何もできないまま0時を過ぎた。緩慢な動きで慌ててシャワーを浴び、この文を書いていた。そんな日もあるよねと思いながら床に着いた。今日はよく眠れればいいんだけど。